しかも遥夢は公園で逢ったのが俺だとは気付いてないようだった。


笑いながら遥夢の肩に手を置き、抱きつく遥夢を俺の方に反転させる彰人。


もじもじとした遥夢が俺に視線を向けたとき、


「マツ、遥夢様が驚いているぞ。いったい何をした?」


穏やかで静かな彰人の声が俺に掛けられた。


「心外だなー。なンもしてねぇよ…。」


俺は彰人にわざとらしいため息をつきながら応えたんだ。



マツって名前にも反応を示さない遥夢。


公園での出逢いが頭からごっそり抜け落ちたのか?


ぼんやりとした様子の遥夢に少し落胆してしまった。


だけど、逆に初対面の方が今後動きやすいと思い気を取り直して遥夢に声を掛けた。


「突っ立ってねぇで座れば?」


さりげないボディタッチも忘れずに、遥夢の肩に手を添えてガーデンセットの椅子に誘導する。


やっと逢えた。


本当はぎゅっと抱きしめて腕の中に閉じ込めてしまいたい。


そんな気持ちをぐっと押し込んだんだ。


テーブルの上に用意されているのはアイスティー。


「温室は暖かいので冷たい飲み物にしました。」

レースをあしらわれた綺麗なコースターに置かれたグラスはキラキラと琥珀色に輝いていて、とても綺麗だ。


「気が気くね。さすが彰人。」


俺はクルクルとストローを回しながら笑顔で話した。


けど、点数稼ぎの上手い彰人に少し腹立たしさを感じたんだ。


スマートな執事を演じきる彰人。


ちょっとした悪戯心が働いたって仕方ないよな?