「てめぇはいつも急すぎるんだよ!」


店の奥にある俺の荷物をスッカリ運び出した彰人が黒光りした高級車に乗せられた俺は機嫌の悪さを隠すことなくぶつけていた。


「手伝うって言っただろ?」


喚く俺を煩いとでも言うように小指を耳に指したまま言葉を返す彰人に俺は何も言わなかった。


余裕があるように見せてはいるが何か切羽詰まった様子が窺える。


本当に困ってないとこんな急に、それも俺の許可なく強引に事を進めるような奴ではない。


人を頼ることが苦手な一匹狼のような彰人。


昔の自分を見ているようで放っておけなかった。

「相当手を焼いてるみたいじゃねぇか。」


ニヤリと笑って言ってやると、


「あぁ、今回は自分の力のなさを思い知らされてるな。」


彰人には珍しい弱音が飛び出してきた。


「俺に任せろ!
で、何をすればいいんだ?」


「温室の管理だ。」


「あ゛? てめぇなめてんのか?」


「俺はいつでも真剣だが?」


「温室の管理なんかそのへんのジジイ拾ってきてやらせとけ!」


「文句は言わせない。
お前の荷物も温室に運び込んである。」