遥夢の背中を見送ってから俺も屋敷に戻った。


屋敷はいつもの静かな佇まいとは違い人が溢れかえらんとばかりに集まり、騒然としていた。


何かがあった。


様子の違う屋敷に足を踏み入れ人を避けながら温室に向かった。


この屋敷での俺の仕事場。

表向き俺は温室の手入れや蘭の栽培を仕事としている。

温室には誰も近付けないようにするのも俺の役目だ。

それは温室を大切にしている春香の為という表向き理由があるが、それだけじゃない。


彰人と俺と旦那様だけの秘密。


屋敷の全ての場所に設置されたカメラの映像を管理編集する為の部屋。


それが本当の俺の仕事場だった。