「遥夢様…屋敷に帰りましょうか?」
話し終えた俺達は遥夢の待つ場所に移動した。
遥夢は話しかけられても首を振るだけで応える。
彼女の言葉に遥夢は首を縦に動かした。
「マツさんに連れて行ってもらってもいいんですよ?」
彼女が声をかけると遥夢は驚いたように顔を上げ、縋るように彼女を見つめていた。
ずっと遥夢の支えだった彼女に見捨てられたと思ったのだろうか、遥夢は首を激しく左右に動かして涙を流していた。
「では私と一緒に屋敷に戻りましょうね。」
感情を露わにしたのは一瞬だけで、最後に掛けた言葉にも遥夢は人形のようにこくんと頷いて手を引かれるままに足を進めていた。

