「彰人もマツさんの心の変化に気付いていたみたいね。
遥夢様を彰人の住むお屋敷に迎える準備を進めているの。
だから今はまだ少し早いのよ?」


「はい。」


「だけどね、私は今でもいいって思ったわ。
さっきのあなた達二人を見ていて決して早いとは思わなかった。」


「…………。」


彰人の母親の話を聞きながら視線だけ遥夢に向けた。


また人形のように生気を失った遥夢。


「遥夢様が感情を見せたのを私は久々に見ることが出来たの。」

マツさんのお陰ねって言いながら優しい笑みを浮かべる。


「俺は何もないのに無責任な事をしようとした自分が恥ずかしいです。」

彼女の言葉や微笑みが優しすぎて居たたまれなくなった。


「そんなことないわ。
あなたは一番大切な心を持ってるのよ。
彰人の目に狂いはなかったわね。
これからどうするかはまず遥夢様を優先しましょう。
遥夢様があなたの手を取ったら遠慮なく遥夢様を攫って頂戴。」


「けど、そんなことしたらあなたの立場は…。」

「そんなこと気にしないで。
だけど、あなたがそう思ってくれているように遥夢様も気持ちに素直に従えないかもしれないわね。
そうなっても彰人の計画が先に遥夢様を救ってくれるから待ってあげてくれるかしら?」


全てを見越した彼女の言葉に俺は頷くことで応えた。