ジーンズのポケットに押し込んであったくしゃくしゃの千円札を店員に差し出して受け取ったマカロンを片手に店を飛び出した。


待ってろよ遥夢。


すぐに行くからな。


背中を追うように掛けれた店員のお客さんお釣りって声を振り切って俺は走った。


その公園で泣いているだろう遥夢を抱きしめてやりたくて走ったんだ。


住宅街にポツンとある小さな公園。


どこにいる?


遥夢。



静かな住宅街で会話を必要とする電話は使いにくい。


だから俺はメールで彰人の母親に公園に来るように知らせた。


やはり遥夢は公園にいた。


大きな桜の木の横にあるブランコにポツンと座っていたんだ。


驚かせてはいけないと思い、ゆっくりと遥夢に近づいた。


サクサクとスニーカーが砂を踏みつける音にも遥夢は反応しなかった。


眠っているのかと思うほど遥夢は動かない。


伸ばせば手が届く距離まで側に来て遥夢はやっと顔を上げた。


「お前どこから逃げてきたんだ?」


「家。」


「自分のか?」


「私に家なんてないもの。」


「そっか、なら俺がお前をさらっても誰も何も言わねぇよな。」