男は地面に寝ころんだまま額に腕を乗せてピクリとも動かない。


俺の声に反応すらしなかった。


「死んだのか?」


男の側にしゃがみ込み、その顔をのぞき込むと男は額に置いた腕を動かしてひらひらと手を振る。

それが俺には何を示すのかはわからなかったが生きていることに胸を撫で下ろした。


「大丈夫なのか?」


もう一度声を掛けると男は不機嫌そうに瞼を上げて、


「うせろ!」


さっきの男達に言った言葉を俺に向かって唸る。

でも俺は動けなかった。
暗くてハッキリとは見えなかったが、黒い瞳を持つ男の顔から視線を外すことが出来なかった。