バキッと人を殴る音が響く。

やられた奴らの呻き声の中、


「うせろ!」


唸るような声を上げる男は俺の目にとてつもなくカッコ良く映った。


バラバラと退散する男達の背中を睨みつけ、その姿が見えなくなると男はその場に倒れ込んだ。


「強ぇ――…」


相手5人だぞ?

でも夢じゃない。

目の前で起きた現実。


俺達とは戦い方も違う。
殴り合い、蹴り合い、体を使った攻撃。

掌を翳し、力量を計ることの出来る俺達の世界では見たことがない戦いだった。


俺は異世界に来たんだな。


いきなりヘビーではあったが、自分の知らないものを見ることでここが異世界だと納得できた。


まずは、目の前で倒れている男を知ることから始めてやる。


純粋に興味があった。


「大丈夫か?」