デュランに話してから俺は森のすぐ側の小さな家に軟禁された。


しかもありがたいことにデュランと一緒に。


てめぇ、マジ人格変わっちまえよ!


この家に来てから何度も目を合わせて試してみたがデュランに変化はない。


「つまらねぇ…。」


珈琲を啜りながらボンヤリとくだらない事を考える生活に嫌気がさしていた。


「マジつまらねぇ…。」


異世界には正直行きてぇ。


けど、後は継ぎたくねぇ。


晒し者にもなりたくねぇ。



なんかいい方法ねぇのか?


つぅか…


時を操るのは今は親父なわけで、


「親父はまだまだくたばらねぇはず。」


アイツは殺しても死なねぇ自信がある。



「は?」


突然話した俺の言葉を理解できないデュラン。


読んでいた本から俺に視線を変えた。


「俺、行ってくるわ。」


「どこに行かれると言うのです!」


驚愕するデュランに俺はニッコリと笑って言ってやった。


「異世界だけど?」


言うが早いか駆け出すのが早いか、


「お待ち下さい!」


玄関を飛び出し、デュランの声を背中で聞いた。

そのまま森を抜け、異世界へ通じると言われている大きな木の下に辿り着いた。


何も変えたくねぇ。

弟に王位を、

俺に自由を、

それに、母さんに安らぎを、

好きじゃねぇけど弟の母親にも安らぎを、


俺が王位を継ぐことで悲しむ奴がいるのは駄目だ。


だから一か八か賭けてやる。


時間を操るのは弟でもいいんじゃね?


俺がやらなくてもマーフィーがちゃんと役目を果たすだろ?


もしも、じいちゃんみたいに花嫁と結ばれなくてもそれは俺の運が弱かったと諦める。



だから


「行ってくるな!」


木に向かって掌にためた力を一気に放出した。


黒い影が広がり、吸い込まれ俺は意識を手放した。