「いい加減、その結界をといて下さらないとワタクシにも考えがありますのよ!マーフィー!」



耳を塞ぎたくなるような金切り声に彷徨う意識がハッキリと戻ってきた。

バチバチと電流を放出する俺の体。


誰も寄せつけたくないと全てを拒否する為の結界。


俺は意識がない時に無意識で結界を張る癖があるんだ。



「マーフィー!
これ以上は待てませんわ!」


目の前で喚き散らす女。
霞む視界にぼんやりとその姿を捉えた。



「デリー?」



次第に視界が鮮明になる。

瞳に飛び込んでくるのは掌を俺に向けているデリーの姿。


「ちょっと待て!
デリー、落ち着け!」


今の俺はデリーの放つ力を受け止めるなんて出来ねぇ。


緊迫した状況で、やっと俺は意識を失う前の出来事を思い出すことが出来た。


「マーフィーならワタクシの力をかわすくらいどうってことないはずですわ!」

なおも、掌を俺に向けたままデリーは言葉を荒げた。


興奮したデリーを冷静に戻すのは苦難の技だ。


「仕方ねぇな…。」


俺はデリーの力を弾くため自身の掌に力をためた。


「いきますわよ!」