正面に立つマツから顔を背けるように体を捩ると、庭の片隅から温室をジッと見ている竜一の姿が目に入った。
見張られている?
それとも、私がマツに辱めを受けるところを見て楽しむつもりなの?
「勘違いするなよ。
お前と一緒に過ごしたマツが偽物なんだ。
本当のマツはお前の目の前にいるだろう?」
「彰人さんは?
彰人さんとは友達じゃなかったの?」
「彰人は利用価値のある人間だった。」
悲しかった。
マツの言葉を受け入れたくなかった。
どんな事をされても、どこかでマツを信じたいって思ってた。
「私も同じよ。
元から私に価値なんて何もなかったけど、私という人間も価値を見いだせる存在ではないわ。」
溢れ出る涙を堪えることが出来なかった。
やはりマツはもういないと、自分に言い聞かせるしかなかった。

