痛いほどに脈打つ心臓に自然に掌を押し当てていた。


誤魔化すとか嘘をつくのは苦手な方だ。


気付かないでと祈る思いでマツに応えたんだ。


「遥夢、嘘をつく悪い子はおしおきさてるって知ってたか?」


ニヤリと笑うマツの顔。

笑い方まで変わってしまったんだね。


「マツの笑顔、私とても好きだった。
旦那様の笑顔と同じくらいに心があたたかくなったのに、変わってしまったんだね。」


ポツリと本音を吐き出すとマツは一瞬顔を歪めて、だけど私の腕を掴んで引き寄せた。


背中には温室のガラス。
私をガラスに押しつけるようにして体を拘束し、息がかかるほど顔を近づけてくる。


「随分と余裕だな。」


耳のすぐ近くで話されて、そのまま耳朶を甘噛みされた。


「いやっ!」