「で、遥夢はどうしたんだ?」


紅茶の入ったカップを手にしたままフリーズする私の手にソッと重ねられるディアスの手。


話せなくなった私の記憶なんて頭の中を覗くことが出来るディアスにはわかってるんだよね?


だけどディアスは待ってくれている。


私がちゃんと話すことを待ってくれているんだよね。


「ごめんなさい、聞いて欲しいって言ったのは私なのに…。」



ただ曖昧で、それでも優しくあたたかかった日々の激変。


変わらなかったのは曖昧の部分だけ…


そして何より話せなくなったのは、自分の醜い心をディアスに知られたくなかったからかもしれない。


「ディアス、私はどうしようもない人間なの。」

ポツリと零れる懺悔の言葉。



知らなかったではすまされない醜い心。



軽蔑する?




この醜い心を知ってしまうとディアスはもう私に手を差し伸べてくれないかもしれない。






「話せよ…どんな話しでも、それは遥夢の生きた道なんだろ?」