蘭の花に夢中になって温室の中を散策する私の背後から掛けられた声。


乱暴で大きな声に私は驚いて仲村さんのいるガーデンセットに向って走り出した。



「おい!!」



私の後ろからは大きな足音を響かせて追いかけてくる男の気配。



怖くてしかなかった。


知らない場所。


いくら自由に動いていいといわれても何が私を待っているのかわからないんだ。




ガーデンセットの前に立つ仲村さんの姿を見つけてホッとした。




「仲村さん!!」



飛びつく勢いで走りこんだ私に目を大きく見開いて驚く仲村さん。



だけど彼は私を受け止めるように支えてくれた。



「どうされたんですか?」



息を切らす私に仲村さんの声が上から降ってくる。



「あの...。」



まだ胸がドキドキしている私は上手く話せなくてつまってしまった。




だけど私が話を続けられなくなったのは私のせいだけではなく突然現れた男のせいでもあった。


さっき蘭の花の棚でいきなり声を掛けてきた男が私の後ろに立っていたんだ。




「やっぱりここにいた。どうしたんだよ--。」