ふと窓の外に視線を向けると、とても綺麗な日本庭園が広がっている。


その庭園の片隅に作られている温室。


その違和感のある温室にとても魅かれた。



私の心の拠り所だった温室。


唯一のあたたかい記憶の場所。



私は引き寄せられるように温室に向っていた。


動いてはいけないなんて思わなかった。


勝手なことをしてはいけないとも思えなかった。




ただ温室に吸い寄せられる心を抑えられなかったんだ。




庭をぬけて温室の前に立つと温室の中はとても綺麗でドアを開けるのに戸惑った。



魁夢と共に過ごした家の温室とは違いとても手入れのいきとどいき、色とりどりの花をつけた鉢が並べられていた。



温室の中央にはガーデンセットが置かれていて懐かしさが込みあがってきた。



優しい母と一緒におやつを食べた幸せいっぱいの場所。


優しい微笑を浮かべる母、父の笑い声。


あたたかい紅茶。



溢れている幸せを当たり前だと思っていた私。


ずっと幸せが続くと疑いを知らなかった私。


そんな私が温室の中で笑っている気がした。