「あー………。
腹減っただろ?」
私の呼びかけに彰人さんは見当違いな言葉を残して踵を返して部屋に背を向け歩き出した。
残されたのは呆けたままの私とニコニコと笑顔のマツさん。
お腹…減ってる?
私は布団の上に座ったままお腹に掌をあてた。
「素直じゃねぇなー。
彰人の奴…。」
クスクスと笑いながらマツさんは私の布団のそばにドッカリと腰をおろした。
呆けたままの私は急に側に来たマツさんにビクリと肩を揺らしたんだ。
「あっ、怖がらないで。本当にキスなんてしないから…ねッッ!」
首を傾げてニッカリと笑顔のマツさんの言葉に私もクスクスと笑い声を漏らした。
状況はつかめないけど危険じゃないということは理解できた。
コクリと頷き私もマツさんに笑顔で答えた。
「ヤッベ……彰人が惚れたのわかる気がする…。」
彰人が惚れる?
想いを告げたときとても困った顔をした彰人さん…。
マツさんの言葉で公園での出来事が走馬燈のように頭を駆け巡った。
「彰人さんを困らせてしまいました。」
首を横に振りながら小さく呟く私にマツさんは同じように首を横に振ってニカッと笑顔を浮かべた。
「アイツは春香ちゃんに惚れてるよ。
ただ素直じゃないだけ…」
だから落ち込まないで、繋げた言葉はとても優しい。
マツさんの掌がポンポンと私の頭の上で弾む。
その優しさとあたたかさに私の瞳から涙が溢れ出した。

