夏木と繁がその背中を見送る。


「遠介ちゃんも隠れイケメンなんだけどね〜」

「そうか?顔濃いだけじゃね」


二人は携帯を開いて遠介の写メを見た。
以前“3バカ”で遊びにいった時に撮ったものだ。

でかい目に、
必要以上にくっきりとした二重。
太くて長い眉毛、日焼けした肌。


「なんというか…東南アジアっぽいよな」

「おまけに坊主頭に短足じゃ、まあ女子ウケはしないだろ。
なんか歌舞伎の人にあーゆーのいなかったっけ」

「足が臭いし、野球バカのくせに万年補欠だし」

「そうそう、だから年齢=彼女いない歴…」


と、二人の会話が
遠介の顔面の批評からただの悪口になってきていると…


『夏木ぃ〜!!!!』


銀が廊下からぶんぶん手をふっていた。

「あ…すっかり忘れてた」

「いってらっしゃ〜い♪王子様」
夏木はまた繁を小突いた。


「痛ッッ」
「王子っつーより…馬だろ…。あぁーもうっ!!!!」


夏木は廊下へ駆け出した。