「きゃーッッ!!!!」


ここは犬童高校の野球グラウンド。
群がる女子たちの黄色い声援の先には―…


「せーのっ…」
『みやびく〜ん!!』


山田雅(やまだみやび)。

身長182cm、
端正な顔立ち(一部ではキムタクに並ぶ奇跡と称される)に野球部では珍しい長髪。

さらに県内屈指のエースピッチャーときて、
女子たちの絵に描いたような王子様なのである。


「今日の練習終わりッ」
『おつかれしたッッ!!!!』


練習が終わり、
グラウンドからでてくる雅。


「みやび君!このタオル使って」
「飲み物つくってきたの!」
「今度の試合がんばってね!!」


待ち構えていた女子たち数人が、雅の元へ駆け寄ってきた。


「うん、ありがとう」

キラッ。

雅君まぶしすぎ。

鼻血もんの王子スマイルを見られただけで、練習終了まで待っていた女子たちの苦労なんてふっとぶのである。

「んっ…?」

「どうしたのみやび君?」