「大変だーっ!!!!島津がまだ中にいるらしいぞー」


騒ぎは大きくなり、
やがてその声はグラウンド外の優詩と雅のところにもとどいた。


「!!!!」


一瞬で血の気が引く優詩。

さっきまでの冷静さが嘘のように、口に両手をあてへなへなとその場にしゃがみこんでしまった。


「島津君が…そんな…」


優詩の頬を涙がつたいおちる。

その様子を無表情で見下ろす雅。

数秒間の沈黙の後、
雅が口を開いた。


「そんなに島津が大事だった?」

「…」


優詩は自分の肩を抱きしめるようにして小刻みに震えていた。