救世結社ガイア〜あなたの声はまだ遠く〜

スッ…―


雅は長い腕を水平に伸ばし、
グラウンドを指差す。


「島津遠介。何、あんな奴がタイプなの?顔濃いよ?(笑)」

「…あなたには関係ない」


優詩は少しも慌てた様子を見せずに静かに立ち上がった。


「それに…島津君はあなたよりかはずっと魅力的だわ」


「じゃあ」と言って立ち去ろうとする優詩。

雅はその腕をガッと掴んで優詩の体を引き寄せた。


「…!?」

「君さぁ…『暗い』って聞いてたけど、それだけじゃなくて性格も曲がってるね」

「…私が曲がってるならあなたは腐ってでもいるのかしら?」


二人の顔は鼻がくっつくくらいまで接近していた。

それでも優詩はその無表情を崩さず、
雅は張り付いたような笑い顔を持続させて言った。


「仲良くしようよ。
これから長い付き合いになるんだ」