「じゃあさ、質問その2。
何の本を読んでるの?」


言いながら徐々に近づいてくる雅に、優詩は強い不信感を覚えた。


なんでこんな不躾な奴が人気があるのだろう。


「…『嵐が丘』」

「ふーん、ほんとにその本読んでる?」

「どういう意味…?」


雅は整った顔を意地悪そうに歪めて笑った。


「だって君さ、ずぅっと“アイツ”のこと見てるじゃん。練習中、本読むフリしてずぅっと」

「…」