「あ、ゴメン・・・平気みたい。」



間の抜けた返事を返す。
平気なわけがない。やっと夏樹くんへの気持ちに気が付けて、夏休みの間もちょくちょく遊んでいたのに・・・。



「眞妃琉・・・。」



「ごめんね、比奈子ちゃん。もう電話切るね。」



「ちょ!眞妃琉!」







ガチャリ



比奈子ちゃんが電話ごしに呼んでいたのも無視して電話を切った。



遊ぶたびに「かわいい」って、「好きだから」って言ってくれた夏樹くん。


―嘘だったの?





そんな人だとは思ってもみなかったよ。





「なんで・・・?夏樹くん・・・。」









あぁ・・・そうか。

別に私は夏樹くんの彼女じゃないんだ。勘違いしちゃダメだよ。

私が返事を出来ないでいるうちに、夏樹くんは別の人を好きになったのかもしれない。





あ、それって・・・




寂しいな。




私がもっとはやく夏樹くんを好きになったらよかったのに・・・。もしくは、夏樹くん以外の人を好きになったらよかったのに・・・。





人は後悔をするものだと言うけれど・・・後悔することが、こんなに辛いなんて思わなかった。涙が出るなんて知らなかった。




「う~夏樹くん・・・なんでよ~?」





って、私が彼女じゃないのに。