恋のSEASON

比奈子ちゃんは椅子から引っ繰り返りそうになった。そんなに驚く?



「あのイケメンと付き合ってたの?いつ?」



「えっと・・・中1の春から秋の終わりくらいまで。」



「けっこう長いね・・・。」



「何もなければもっと付き合ってたかもしれない。」



「え?そうなの?」



懐かしい・・・初初しかったあの頃。ずっと昔のことのように感じる。



「聞く?」



比奈子ちゃんは瞳をキラキラ輝かせた。



「聞く!聞きたい!」



「私と宇巳は小学校は別で、中学で一緒になったの。




―・・・


「浅塚さん。俺と付き合って!」



真っ赤な顔した宇巳がそう言ったのはまだ5月のころ。今でも覚えている、あのゴミ焼却小屋の前。



私もいいなって思ってた相手で告白が素直に嬉しかった。



「はい・・・。」



気がつけば、そう返事をしていて、そこから私と宇巳の交際がスタートした。



たまにケンカもしたし、破局しそうにもなったりしたけど、まわりの協力とかでなんとか仲良くやってた。



本当になにもなければもう少し長く付き合っていたと思う。



宇巳がアメリカなんかに行かなければ。



―・・・



ってわけ。アメリカに行くってこと、私は旅立つ当日まで知らなくて。いなくなった次の日に担任が話すの聞いて初めて知った。」



「それ・・・で?」



「国際電話がかかってきたの。そこで、待っててって言われた。だけど、いつ帰るかわからない恋人を待ってるなんて、中1の私には無理で・・・。」



「眞妃琉がフッたの?」



「そう。でもさ、あいつと文通してた男友達が教えてくれたの。アメリカでよろしくやってるって。それで幻滅。」