恋のSEASON

勝手に口が・・・いや、自然と口がそう言っていた。謝らずにはいられなかった。
涙がこぼれそうになるのをぐっと堪えた。



「なんで眞妃琉が謝るのよ。ただの私の醜い嫉妬だから、眞妃琉は気にしないで。」



比奈子ちゃんがそう言って、自虐的に笑う。そんな比奈子ちゃんの顔を見たいわけじゃないのに。



「比奈子ちゃん、無理に笑わないで。」



私がそう言ったら、比奈子ちゃんはキョトンとさせ、そのあとに小さく微笑んだ。



「眞妃琉は本当にかわいいよ。」



「そんなことない。比奈子ちゃんにだって魅力的なところたくさんある。私はそれを知っているから一緒にいるの。安心して、友達でいられる。」



「ううん。私は全然かわいくない。眞妃琉は確かに容姿もいいけど、それだけじゃないもん。心も綺麗でかわいらしい・・・。」



そんなことない。比奈子ちゃんには比奈子ちゃんの良さやかわいらしさがある。

そのことをうまく伝えられたら、どれだけ楽なんだろう。



裏昇降口にいる私の耳にかすかにチャイムの音が入ってきた。



「チャイム、鳴ってる・・・。」



ぽつりとつぶやいた。

かすかにしか聞こえないチャイムは、私たちが現実から少し離れた場所にいる感覚に陥らせる。



「眞妃琉・・・。」



比奈子ちゃんが消えてしまいそうな弱々しい声で私を呼ぶ。



「なあに?」