恋のSEASON

「ちょっと眞妃琉。どういうことなのよ。説明して。」



私よりもはやく息を整え終わった比奈子ちゃんが早口に言う。

いや、いろいろ聞きたいのは私なんだよね・・・。比奈子ちゃんにじゃなく、あやつにだけど。



「いや、私も何がなんだか?」



「は?知り合いなんだよね?眞妃琉って呼んでたみたいだし。」



「一応・・・。」



「一応って何よ!!!」



比奈子ちゃんが声を荒げたので、私は肩をビクッと震わせた。


比奈子ちゃんはそれを見たのか、大きなため息をひとつ吐き出し、裏昇降口に置いてある椅子に座った。



「大声だしてごめん。」



比奈子ちゃんが頭をさげて私に謝ってくれた。



「ううん、平気。」



私は比奈子ちゃんの頭を突いて、ニッコリ笑ってそう言った。



「ちょっとイライラしちゃったの。」



俯いたまま比奈子ちゃんが言った。いったい何にイライラしていたのか、私には検討がつかない。



「眞妃琉ばかりモテるから・・・ただの嫉妬なんだけど。眞妃琉がかわいいのはわかってる。あたしとは比べものにならないくらい。」



「そんなことないよ。」



私はそんなにかわいい女の子じゃない。比奈子ちゃんのほうが、よっぽどモテるって思うのに。



「いつも言ってるでしょ?眞妃琉は自覚がなさすぎなの。」



そんなことないのに・・・。


「眞妃琉に声をかけたのも、かわいいなって思ったから。かわいい女の子と友達になれたらいいなって思って。」



「うん。」



「だけど、だんだん自分に劣等感を覚えた。すれ違う人みんなが眞妃琉ばかりを見るから。私は引き立て役なんだって。」



比奈子ちゃんがそんな風に思っていたなんて、知らなかった。私は知らず知らずのうちに比奈子ちゃんを傷つけていたんだね。



「ごめんね、比奈子ちゃん。」