赤眼の黒髪

「オレは・・・・・オレから黒髪をうばったこの世界の人間どもがにくくてしょうがなかったんだ」

赤眼は語りだした。

「オレ達の目が赤目だから化け物って呼ぶし、空を飛んだだけでも化け物って呼ぶ。それだけならまだよかったのに・・・・・オレの黒髪が」

そう言って黒髪をまただきしめる。

「この世界の人間どもを殺すつもりはなかった。だけど、どうしても黒髪をみつけたくて少しずつ町をこわしていったんだ」

黒髪は静かに耳をかたむける。

「あの公園でお前をみかけたとき、びっくりした。お前だと思ったけど、名前がわからなかったからてっきりお前じゃないと思ってしまった。ばかだよな、赤目の人間なんてあんまりいないのにな」

赤眼は黒髪の目を見て最後の一言を言った。

「またこうして会えて、よかった」

その後2人はしばらくの間沈黙していた。あまりにも急なことで少し不安なこともあった。

「・・・・・赤眼、私達この世界で生きていけるよね」

黒髪は不安そうに、でもしっかりとした声で言った。

「・・・・・ああ、生きていけるさ」

2人はそう確認しあって、夕焼けの空を飛んで行くのだった。