赤眼の黒髪

遠く遠くの記憶がよみがえってくる。

これしか思い出せない。

赤眼と自分が何者なのかということがはっきりわからない。

「赤眼っ!

黄色い煙をかきわけながら進むと、そこには空中に立ち尽くす赤眼の姿があった。

赤眼はゆっくりと振り返り、またびっくりしていた。

「飛べる・・・・・のか?」

そう言って少女にゆっくり近づいてくる。

「まさかと思うけどお前は・・・・・・・黒髪なのか?」

今度は少女もびっくりした。なぜだかわからないけど、すごく驚いた。

「お前は、あの小さかった黒髪なのか?」

赤眼は少し涙ぐみながら言う。

なぜだろう。少女の目からも涙が出てくる。

「・・・・・赤眼ぇ!」

体が勝手に赤眼に飛びついていた。自分でもよくわからない。
でも、きっと後からわかることだろう。

「黒髪!!」

赤眼は少女を強く抱きしめた。少女のほうもとてもなつかしい暖かみだと感じていた。

少女は顔をあげると、静かに言った。

「私は黒髪。今、思い出した」

そう、黒髪はたった今全てを思い出した。