“いらっしゃい”

開いたドアに向け、そう声を掛けるといつもと変わらぬ笑顔が返ってくる。

“お久しぶりでぇす”

女の子の元気な声が誰もいない店内に響く。
男の子は軽く会釈しながら彼女に続く。

一番奥のテーブル席は、二人の指定席。

荷物を下ろすと、彼女は鞄の中をガサゴソと漁り、パタパタと近づいてくる。