「何で私なの!どうして、私なのよ!」
ドンッドンッと、鈍い音が響く度に
ルシュアの手首はズキズキと痛んだ。
手加減無しに叩いているというのに、
ビオはやはり無表情のまま。
それに余計に苛立ったルシュアは
さらに大声を発した。
「無理よ!あの方の傍に居るなんて!
人を殺めるあの方の傍になんて!
あの方を見て生きていくなんて
私には……できない!
人を殺す人と一緒に居るなんて…」
「そうして生きなきゃ
なんねぇ奴だっていんだろ。」
そう遮られたルシュアの声…
同時に手の動きも止まった。
ビオの声は静かで…
ここに来る前ものとは
思えないほど優しい声だった。


