鋼の心








そうなら…死んでしまえばいい。


そうルシュアが
短刀を首元に持っていく前に
手首を掴まれる…。


「拒否権は無い。死を選ぶ事も…
許さぬぞ?女…。」

と、耳元で囁かれ…
背中が弓なりにしなった。


その拍子に
手から滑り落ちた短刀。


カラン、カラン…と、
余りにも虚しくその音が耳に響いた。


「感度は良いようだな。」

何の躊躇いも無くそう言う男。


ルシュアに…酷く憎しみが湧いた。