鋼の心








「人間の…逝き様を見た事があるか?」

そう微笑んで言う彼に
ルシュアは一歩、後退る…が、
後頭部を掴まれ…それを防がれた。



恐怖が…ルシュアを追い込んでいく…。



「どれほど、プライドがある人間でも…
闇を目前にすれば…
地にすら頭を着けるのだ。
愚かな者は…苦しみ、息絶えればいい。
そうは思わぬか?女…」


恐怖の目をした銀髪の彼に…
ルシュアの脚は
使い物にならなくなっていた。


立つ事すら出来ないその脚は…
銀髪の男に支えられているから
何とか立っている姿勢を崩していない。


ただ…その男との距離が…
ルシュアには恐怖だった。


「どうやら…お前の恐怖は、
我らしいな?」

艶めいた声…ルシュアはビクリッ!
と、体を揺らせる…。