暗い森

「お義父様、ま、まさかこの方は？」陽麗は狼狽した。何故かこの男が父、いや、少なくとも血がつながっていることがわかった。
「そうだ。陽麗、この方が・・・」
「その先は私が話すといたそう。姜麗、いや、今は陽麗であったな。私はそなたの実の父だ。」
ああ、そうか。そうなんだと陽麗は妙に納得し、父と名乗る男がさらに口を開くのを待った。
「立派に育ったな。父として嬉しく思う。士会（しかい：義父の名）殿、心からお礼申し上げる。」
「いえ、陽麗をあずかることで私達夫婦はとても幸せな時間を持つことができました。優しく、強く育ってくれました。その成長を見守ることは人としてこの上ない幸せでございましたよ。」
「うむ。そのような方々であろうと見越して預けた甲斐があったようだ。」
義父と、父が話しているのを陽麗は茫然と聞いていたのだが、疑問が次々と湧いてきたため、口を開いた。「あの、お二人は前々からのお知りあいなのでしょうか？」