どうにか彼の下からはい出すと、ジットリと彼を睨んだ。



…同い年くらいだろうか。



まだどことなくあどけない顔立ちに、サラサラの栗色の髪の毛。



真っ白なワイシャツの下には赤の派手なTシャツが覗いていて、首からはシルバーネックレスが垂れていた。



これだけではどこの学校かは分からない。




ハッとして腕時計を見ると、もう時刻は8時20分を回っていた。



完璧遅刻だ。
…コイツのせいで。



すぐそばで眠る疫病神をチラリと見るとサラサラの髪がユラユラと風に揺れている。




どうしたものか。




放っておくわけにも行かないだろうし。



ハァ…と小さくため息をつき、仕方なく彼を道の端へと引きずった。



彼のサラサラの髪の毛からは、かすかにシトラスの爽やかな香りが漂っていた。