盗み聞きはいけない。
分かっているけれど、体が凍り付いたように動かない。
それに…これは紛れも無くあたしの悪口。
そしてそれを言っているのは1番の親友だと思っていたあやちゃん。
…どうして?
あたし、一体何をしてしまったの?
涙腺が緩み、目に涙をいっぱい溜めて俯く。
教室の中からは話の続きが聞こえてくる。
「タケル君ってるなちゃんが好きなの?みかちゃん、ずっとタケル君が好きだったのに!」
「そういえばこの前るなちゃん、タケル君に消しゴム貸したり、二人っきりで話したりしてたぁ!」
「みかちゃんがタケル君を好きなの知ってる癖に最低!!」
「本当!こっちはるなちゃんといると男子と話せるから遊んでやってるだけなのにさあ!」
もう聞きたくなかった。
あたしは弾かれたようにその場から逃げ出し、
走りながら声を上げて泣いた。


