そして、今日もいつも通り学校を終えた。
何人かの男子に呼び出されてるけど、あたしは真っすぐ家に向かう。
向こうだってあたしが来ないことは知ってる。
だって有名だから。あたしは絶対呼び出しても来ないって。
帰りも行きと同じ道を通る。
今朝の桜並木に差し掛かったところで、あたしは一旦足を止めた。
「…あ、」
桜の木々の向こう側の川に、プカプカと浮かぶカモの親子が並んでいた。
…可愛いな。
きっとこのこ達には悩みなんてないんだろう。
羨ましい限りだよ、本当。
しばらくカモ達を眺め、あたしはまた歩き出した。
当たり前だけど、シトラス君を寝かせたあの場所にはもう彼の姿は無かった。


