「おまえみたいなわがままな女、もううんざりだ!」
俺の苛立ちを吐き出すのと比例して世莉奈の涙が勢いを増していく。
それを気遣える余裕の無い自分に焦燥感がまた膨れる。
「・・・・・・言ったのに」
「はっ?」
「一年前・・・・・・お父様が海外に行くときに約束したのに。世莉奈のそばに居てくれるって」
涙と一緒に零れだした世莉奈の言葉で思わず言葉を失った。
一年前。
世莉奈の唯一の肉親である当主が長期間海外に滞在することになって・・・・・・。
“世莉奈はさびしがり屋の癖にプライドが高いから・・・・・・決して他人にそれを見せようとしない。その代わり”
出発の前夜。
当主に呼ばれて言われたこと。
“わがままを言うのは世莉奈の愛してるの証拠なんだ。だから傍に居てあげてくれないか? 世莉奈は湊が大好きなんだよ”
だから俺は・・・・・・世莉奈の傍に居るって答えたんだ、当主に。

