「・・・・・・湊」
カチャリという音と同時に、扉越しにすぐ傍から声がして視線を下に落とした。
重厚な扉の隙間から俺を見上げる目は散々泣き腫らしたように真っ赤で。
そのくせまだ、じわっと涙まで溜め始める。
「全く・・・・・・いつまで拗ねてるつもりだ」
呆れ果てて思わず無表情がうんざりした顔に変わってしまう。
それを上目に見ていた世莉奈はきゅっと眼差しを鋭くさせ、
「もう湊は要らないって言ったもん!」
恨みがましそうに俺を睨み付けた。
腹が立つ。
今までの焦燥感の何倍も苛付く。
要らない?
そんなの、俺の台詞だろっ。
俺が居なきゃ何にも出来ないお嬢様の癖に。
「好きで居たワケじゃねぇよ! 要らなくて結構。俺を世莉奈から解放しろって当主に言えよ!」
気が付けば自分でも驚くくらいの大声を出していた。
一年分の鬱憤が一気に噴き出して完全に理性を超えてしまった。

