「う~、あっちい」


太陽が手加減なしに俺たちを攻撃する。


「文句言わない。言うと余計暑くなる気がするもん」



後日。

俺たちは2人きりで例の山吹文庫へ向かっている。


山吹文庫は学校からほどなく近い森にある。


その奥にひっそりと建てられていて、山吹さんが個人的な趣味で開いている文庫だ。


絵本や童話がたくさんあり、小さな子どもに人気がある。


俺も小学生の時はずいぶんと通った気がする。


が、最近ではすっかりとご無沙汰していた。


太陽から逃げるように森を日傘にすると。


外界から、見えないバリアで守られている様に静かで、少しひんやりと湿っぽい空気がなんだか懐かしい。