でも。


今日、6年ぶりにこの場所を訪れて。


俺は少しだけ、何かが変わり始めた気がしたんだ。


もうどれだけ思っても、ばあちゃんが帰って来る事はなくて。


今まで向き合う事さえ避けてきた、当時の出来事や思い。


それを。


思い出に変える事。


そして。


残された俺に、今を生きている俺に。


何が出来るのか。


そんな事を思った時…


少し早い夏の終わりのような風が。


まるでばあちゃんからの返事のように。


俺の体を、優しくフワリと包み込んだ。