「久し振りね、いらっしゃい」


そう言って、俺を出迎えてくれたのは、あの頃よりも少し化粧も薄くなり、柔らかい表情になったおばさんだった。


「お久し振りです」


皮靴を揃えて脱ぎ、おばさんについて足を進める。


案内されたそこは、あの頃と何も変わらないリビングの隣にある、仏壇の置いてある応接間だった。


既に、親父におじさん、従兄妹も揃っている。


「優心君も今年は来てくれたわ」


おばさんの後ろでぎこちなく頭を下げると、周りは優しく笑って迎えてくれた。


「もうすぐお坊さんが来るから」


どうして良いか分からず、とりあえず親父の隣のスペースにゆっくりと腰をおろす。


「元気にしてたか?」


母親と同じように、目の周りの皺が濃くなった親父。


それを見つめながら、俺は黙って笑い返した。