拝啓、ばあちゃん【短編】

自転車をぶっ飛ばし、ばあちゃんの家に向かう。


もしかしたらもう見つかった後で、今頃熱いお茶をすすりながら呑気に笑っているかも知れない。


そうであって欲しい。


祈るような気持ちだった。


人気のない住宅街の中を、時折、徐行運転で走る車を追い越しながら、必死で足を動かす。


ようやくばあちゃんの家が見えて来て、俺はその光景にゴクリと唾を飲み込んだ。


家の前にはクルクルと赤いランプを点灯させるパトカーが停まっている。


そこへ駆け付けると自転車から飛び降り、俺は肩で息をしながら奥へと押し進んだ。


「ばあちゃんは!?」


リビングにはおじさんとおばさん、そして二人の警官。


俺の大声にみんなが一斉に振り返る。


そしてそんな俺の顔を見て、おばさんは目を伏せて小さく首を横に振った。