そんな俺を待っていたのは、珍しくリビングにいる親父だった。


「どこへ行ってたんだ?」


普段なら俺に話しかけもしない親父が、渋い顔で尋ねてくる。


「連れと遊んでたけど」


何なんだ、急に。


そんな思いから、ぶっきらぼうに答えた。


けれど親父はそんな俺に見向きもしないで、重たい溜息とともに呟いた。


「ばあちゃんがいなくなった」、と。


「はぁ!?」


昼間のばあちゃんの姿とともに、以前おばさんが言っていた事を思い出す。


まさか…


「でも…、もう見つかったんやろ?」


そうだ、そうに違いない。


だってもう10時を回っている。


そう気弱に尋ねた俺に、親父はまたしても長くて重たい溜息を吐き出した。


「嘘…やろ?」


そう言いながら、スーッと血の気が引いていくのが分かった。