一ヶ月ほど経った頃には、俺は現実の厳しさをひしひしと感じていた。


良くなるどころか、普通の状態の時の方が、どんどんと少なくなっていく一方のばあちゃん。


ばあちゃんには良くなって欲しい。


でも、もう無理なんじゃないかという諦め。


そして、俺の事さえ分からない、とんちんかんな事を言うばあちゃんへの苛立ち。


俺はだんだんと、疲れてしまっていた。


そんな中、ばあちゃんの家に毎日通い、友達と疎遠になっていた俺を心配した武士から、久しぶりに電話を貰った。


「今週の土曜、みんなで走りに行こうや!」


ばあちゃんの事で疲れきっていた俺は、二つ返事でOKした。


たまには息抜きしないとな。


でも、俺がこの時、ばあちゃんをほって友達の元へ行かなければ…


もう少し違った未来が、あったのかも知れないのに。