散りかけの桜をぼんやりと眺めながら自転車をこぐ。


「うちの子と話さないでね。あなたに影響されると嫌だから」


「近所の人に話しかけられても、余計な事は言わないでね」


きっと学校に行かない俺が、あの家に出入りする事さえ、おばさんは気に食わなかったんだろう。


今頃、手を叩いて喜んでいるに違いない。


でもばあちゃんは、なんであんなにもおばさんの言いなりなんだ。


ばあちゃんの本心じゃないのは分かってる。


でも、悔しくて、悲しくて。


明日からは、ばあちゃんの所に行けないんだ…


そんな事を思いながら、俺はひたすら遠くまで自転車を走らせた。