バニラ

あなたと出逢ったのは今頃の季節だったかな。ふと窓の外の赤く染まった紅葉を見ながら思い出した。久しぶりにそんな事を考えながら眠りについた夜、初めてあなたの夢を見た。こんなに時間が過ぎてから何故か突然…。
無邪気な笑顔とチョットぎこちない会話。あなたと会って間もない頃の夢だった。
そのぎこちなさが、なんだか心地よくて自然に一緒にいるようになっていったんだよね。みんなといても必ず隣にはあなたがいたね。

懐かしい笑顔…そう思った瞬間目が覚めた。すると、私の目から涙が溢れていた。
ああ私、まだあなたの事が好きなんだ…。
どうしようもないほど。そして、長い年月をかけて、やっと自分の気持ちを受け止める事ができたような気がした。長い間、あなたから逃げていた自分と向き合えた。そう思ったら涙が止まらなかった。好きだという気持ちが涙と一緒に溢れ出した。初めて人を恋しいと思って泣いた。会いたくて泣いた。なんて私はバカな事をしたんだろうと後悔して泣いた。
声を上げて泣いた…。