Bloody Kiss

手に取ってみると結構な重みがある。
表紙を捲ると手書きの文字が並んでいた。内容は日付と出来事、ちょっとした感想みたいなことが書かれている。書き出しの日付を見ると、大分前に書かれたものらしい。

『都の方では狩人達が共同生活をしていると聞き、我々も共同生活を始める。』

その下に数人の名前が記されている。ファミリーネームから考えて二家族分だろうか。彼らが最初の住人なのだろう。
それ以降も出来事の概要と人名が続いている。

パラパラと捲っていると、最後の方に何かが挟まっているのに気付いた。そのページを開くと、一枚の写真が栞のように挟まっていた。

「……家族写真?」

その写真に写っていたのは五歳位の小さな男の子と女の子、二人にしがみつかれて少し困った顔をしている少年、それを妙齢の女性が柔らかい表情で見守っていた。

写真が挟まっていたページの記述を読んで、写真の詳細を探す。そこで見付けたのは意外な人物の名前だった。

『舜が狩人のライセンスを取得し帰郷する。恢とエリィは舜と初対面だったが早速打ち解けたようだ。』

日付はおよそ三十年前。

『恢とエリィ』

これはやっぱり、私の知ってる恢のことだよね。それにエリィ。彼女もここの住人だったのか。
それならこの写真にも写ってるよね。どの人がエリィなんだろう。