大智said


今でも思い出す

あの時のおっちゃんの姿

時々無性におっちゃんに会いたくなる

今日はきっとそんな日や




―・・・



「おーっちゃん!」

「なんだお前また来たんかー;」

「来たんちゃうの!連れてこられたのー!」

「大智ーそういうのは屁理屈ゆうんやぞ!」

「はーい」

「で、今回は何したん?」



あきれた顔で問いかけるおっちゃんに

私は答える


「喧嘩」

「はでにやったのおー」

「そう!はでにやったった」

「お前も科学的に女の子なんやからもう少しちゃーんと女の子らしく・・・」

「科学的ってなんやねん」

「まあ、何をするもお前の勝手だ。だけどな、後悔したときにはおそいんやで」

「・・・わかった」

「もう高校生になるんやろ?志望校は決まったんか」

「んなわけないやんけ」

「じゃあ、おっちゃんの行ってた高校に入れ」

「命令かよ!別にえーよー」

「署からも近いし、通学路はここから見えるし。お前のちゃんとした姿見たいしな」

「任せてよ!1番に制服姿みせたるよ!」

「ほんまかぁ。ありがとなぁ」



この時のおっちゃんの顔は輝いていた

櫻井に昔の話をしてから

おっちゃんとの思い出を思い出すようになってもうた

過去は振り返らない

高校に入学が決まった時おっちゃんと交わした約束



自分の過去をくやんでも

過去は変わらない

その前に変えようとなんて思うな

どんな過去も自分の立派な経歴や


そういってくれたおっちゃんはもういないけれど

言葉は一生もんやな





「な?そうやろ。おっちゃん」


墓石の前にしゃがみこみ話しかける

あの時のおっちゃんの笑顔が見えた気がした

花を置き

もと来た道を戻る

切なさが少し心をつついた