「気合いれようぜ!」

「警察のおっちゃん」

「・・・だれそれ」

「あたし担当のおっちゃん。少年犯罪取り締まっててさ、私のこと大智って名前で呼ぶの」

「へえ~」

「おっちゃんは、私を変えてくれた人やねん。大切なものを教えてくれた人でもある」


大智はただうるさいだけじゃない

そう思った



「そのおっちゃんすごいんや」

「そう。すごいの。・・・ある日さあ、いつものように夜おそくに家にかえったんよ。そしたら、いつも真っ暗なリビングが電気ついてたん。やけど気にしないで2階に上がろうとしたら、泣く声が聞こえたん。のぞいたら、おかんがないとった」

「・・・」

「その日は、死んだおとんの命日で・・・仏壇に向かってごめんごめんって泣きながらおかんが謝ってんねん・・・なぜだか心が痛かった」

「大智・・・」

「・・・でも、夜遊びをやめようとも思わなくて。そしたらある夜へんな奴らに絡まれて、喧嘩したら傷だらけ。血が出て、口が切れて・・・けーっきょく警察行きや」

「病院は・・・?」

「行かなかった。警察署で事情徴収。おっちゃんにな、話の流れでおかんが泣いてた事話たん」

「そしたら?」

「傷でただでさえ痛いのに、おっちゃんいきなり私の頬を殴ったん」

「え!?」

「でなあ、痛いかって言うねん。で、痛いから痛いってゆーたら、お前の傷はっすごく痛いかも知れへん。やけど、その傷を見たお前の仲間や親はもっと深い傷を負うんやって言うたん」

「それって・・・」

「ん?」

「いや、なんでもない」


それは、川本が言ってたな

中津の傷見て大智が言ったことと同じや



「そこからや。私が変わったの。めっちゃ単純やけどほんまに考えが変わった」

「・・・そうなんや」

「この高校に入った理由は、おっちゃんの母校がここやねん」

「まぢで?」

「うん。それでな、めでたく入学して、制服姿見せたらめっちゃ喜んでた」

「よかったやん」

「・・・せやな」

「?」