杏さんがいることは知ってる。2人とも恋愛感情がないってことだって。
家がすごいとこだってことも分かってる。……でも―――……
和人の昔の恋愛を知らない。
あんな見て分かるような一途な和人が昔はどんな人を愛したの?なんで別れたの?
その人はあたしとおんなじように愛されたんでしょう?
ねぇ、和人。
こんな弱いあたし、嫌んなる。
今が大切って分かってるんだよ?今あたしが愛されてるってことも分かってる。
その愛しかたが一途なだけに和人の過去が気になる…。
「あっ律お呼びだよ」
華織がニヤニヤしながら教室のドアの方を指差している。振り返ってみると和人がドアにもたれ立っていた。

