「……。
……リん。
花梨」
「へっ!?」
銀ちゃんの呼びかけで現実に返る。
「どうした、ぼーっとして」
い……いけない、いけない。
回想の世界に浸りきってた……。
「あはははは……!
私がぼーっとしてるのは、いつものことでしょ?」
「……それもそうだな」
「おい」
私のふてくされた顔を見て、銀ちゃんがクスッと笑った。
「腹減ったな。
どっか寄ってくか」
「ほんと!?
やったあ!
じゃあね、駅前においしいドーナッツ屋さんができたんだって!
私そこ行きたい!」
「またか……。
こないだも甘いの食いに行ったような……」
「こないだはクレープ!
クレープとドーナッツは全然違うもーん」
「ドーナッツねぇ……」
とか言いながら、銀ちゃんの足は駅前に向かっている。
なんだかんだ言いながらも、私に付き合ってくれる銀ちゃんが好き。

